「じゃあ、代わりの結婚相手を見つければ
いいんだろ?
総司、社長命令だ。結婚してやれ」


俺の言葉に凪沙が総司の方を思いきり
振り返る。


「えぇ...!?こんな気の強い女性は嫌ですよ...
僕はどちらかというと、かよ子さんみたいな清楚な女性がタイプですし...」


総司の言葉に凪沙がギロッと総司を睨む。


「はい?
かよ子って誰よ?」

総司の奴、余計なことを...

凪沙の詮索するような瞳に
俺はサッと目を反らした


「ははぁーん...女が出来たのね...
特定の彼女を作らない神崎社長がね...」


「いえいえ、まだ片思いですから...プッ...」


ダンッ


「いっ......」


俺は隣に座る総司の足を思いきり踏みつけた。


「へぇー意外ね.....」


凪沙はニヤリと微笑んだ。


「そういうことだから他当たってくれ」


「いやよ!
ちゃんと責任は取ってもらうわよ!
じゃまた来るわ!!」


「は?おい!待て!」

責任てなんだよ?

俺は凪沙を呼び止めようとするが
凪沙は俺の言葉を無視してカツカツと社長室を出て行った。


「あーぁ、バレてしまいましたね...」


「お前のせいだろ!

はぁ...

来週からかよ子さんが会社に来るというのに...
絶対あの女と会わせるなよ」


「承知しました。

ところで榊原凪沙とお見合いの席で
どんな約束を交わしたのですか?」


「あぁ、それはまた追々話すよ...」


そう言って言葉を濁す俺に
総司は違和感を感じながらも
それ以上深く聞くことしなかった。