神崎さんは缶ビールの蓋をプシュッと空けると、ゴクゴクと美味しそうに一気に飲みはじめた。
神崎さんがゴクゴクと飲む度に
動く喉仏がセクシーで
私は思わず見惚れてしまう。
「ん?飲みたい?」
神崎さんの視線に気づいて
私に向かって自分が飲んでるビールを差し出した。
「あっ、いえ...
ただビールを飲む姿って素敵だなと...」
私は変なことを考えていた自分が恥ずかしくなり、「あっ、変な事言ってすみません」目を下に反らす。
「ハハッ...かよ子さんあまり煽らないでね...
これでもいっぱいいっぱいなんだから...」
神崎さんは苦笑いしながら、
残っているビールを飲み干した。
「あ、あの...
今日は本当にありがとうございました。
神崎さんにはいくら感謝してもしきれないです」
翼の目を見つめたまま真剣に話す
かよ子に翼の瞳が揺れる。
「じゃあさ...
もう一つのお願いは
かよ子さんからキスしてよ...」
「えっ?」
「もう一つお願い聞いてくれるって
言ったでしょ?」
神崎さんは私の顔を覗き込むようにして
問いかけてくる
「い、言いましたけど...
自分からなんて無理です!」
私は真っ赤な顔で目を反らす。
「はあ...今日の分の仕事できなかったから
明日からまた残業だなぁー」
神崎さんはわざとらしく頭の後ろに手を組んだまま、ソファに体を預けると大きく溜め息をついた。
「うぅ.........」
そう言われてしまうと
私は何も言い返すことができない...
確かに多忙な神崎さんにほぼ1日さいてもらってお礼が一言だけなんて心苦しい...
神崎さんとキスは嫌ではないけど
恋愛未経験の私に自分からキスなんて
ハードルが高すぎる...
「あの...神崎さんからキスして
いただくわけにはいかないでしょうか...?」
私はぼそりと呟いた。



