一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

神崎さんがシャワーを浴びている間
時間をもてあましていた私は
普段は見ないテレビをつけていた。


こんなに絵を描かない日は何年ぶりだろう...


絵を描くことは勿論好きだが
最近は生活のために絵を描いていた。
自分でも知らず知らずのうちに
売れそうな...他人が好みそうな絵を
描くようになっていた...


もう何年も自分が描きたい絵は
描いていない気がする...

私はそんなことを考えながら
ただぼぉーっとテレビを見つめていた。




「面白い番組でもあった?」


ふいに後ろから神崎さんの声が聞こえて
私はビクッと肩を震わせた。


振り替えると
お風呂上がりで顔を赤く上気させた
神崎さんが立っていた。


Tシャツにスエットというラフな格好なのに
神崎さんが着ると格好いいな...


「い、いえ...ただ何となく
ぼぉーっと見てただけで...」


「ごめん...ちょっと長く入りすぎて
待たせてしまったね。
ビール飲むけどかよ子さんも一緒にどう?」


「大丈夫です...私はあまり飲めないので...」


「残念...
酔ったかよ子さんも見てみたかったな...」


神崎さんは悪戯な笑みを浮かべると
冷蔵庫からビールを一本取り出し
私の隣にドサッと腰を掛けた。