一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

そして神崎さんが着替えている間に出来上がったビーフシチューとこんがり焼いたガーリックトースト、ポテトサラダを添えてダイニングテーブルに並べていった。


「うわぁ、うまそうだな...」

部屋着に着替えた神崎さんは食卓を見て
嬉しそうに目を細めた。


「すみません、簡単なものですが」

神崎さんは私の向かいの椅子に座ると
「いただきます」と言ってビーフシチューを
スプーンですくって一口食べた。

「やっぱりかよ子さんの料理が一番美味しいな」

そう言って、大袈裟に褒める神崎さんに
私は照れくさくて「そんな大袈裟です..いただきます...」
小さく呟くとサラダの入ったお皿を手に取り食べ始めた。

向かいの神崎さんが美味しそうに食べてるのを見て、私はホッと胸が熱くなるのを感じた。


すると、神崎さんは「平木さんの料亭のことだけど...」
と、突然話を切り出してきた。

「は、はい!」


私は急いで箸を置くと
姿勢を正した。


「この秋オープンするホテルに日本食のレストランを入れることになってるんだけど、
平木さん達にはそこで料理長として来てもらうことで話が進んでるよ。
うちの会社にも利益になるからカヨ子さんは何も気にしなくていい」


「ほ、ほんとうですか...」


それを聞いて私はホッと胸を撫で下ろした。


「あぁ、あと結婚も予定通り行われるはずだ」

その言葉にメグの喜ぶ顔が目に浮かぶ。

「あ、ありがとうございます...
なんとお礼を言ったらよいか...」

私はグスンと鼻をすすりながら、ポロポロ溢れる涙を指で拭った。
その様子を神崎さんは目を細めて見ている。

「あの、何かお礼をさせてください!
あんまり高いものはあげられませんが...」

ここまでしてもらって、何もしないなんて失礼だ。

私の言葉に少しの間、きょとんとしていた神崎さんだったが、急にニヤリと思いついたように悪魔の微笑みを浮かべた。