「昨日の夜...啓太に呼び出されて...
いきなり結婚は白紙に戻したいって...」


「えっ.........」


驚きのあまり言葉が出てこない

啓太くんもあんなに嬉しそうにしていたのにどうして...


「啓太のお父さんと共同経営してた叔父さんがギャンブルに嵌って隠れてお店を担保に借金してたみたいで...」


メグは唇を噛みしめながら拳を力一杯握りしめた


「そんな...」


「かなりの額を借りてたみたいで、、
料亭を担保にしても足りないみたいなの。
それで、料亭は売って足りない分は啓太のご両親が肩代わりすることになったんだけど。
頑張って大きくした料亭を売ることになって啓太すごく辛そうで...」


メグは涙でぐちゃぐちゃになった顔を手で覆った。


「わたし...
啓太に一緒に頑張りたいって言ったけど...
...でも啓太は仕事もなくなるのに、待たせることはできないって...
別れようって...」


そのままメグは大声を出しながら泣き崩れた。


「メグ...」

泣き崩れるメグを前に
涙を堪えるように唇を噛み締める

あの大きな料亭を売っても足りないとなると、相当な額なのだろう。
大丈夫なんとかなるなんて言えない...
いつも明るくて大好きなメグが泣いているのに私はなにもできない...



私は泣き崩れるメグを抱きしめて
ずっと背中をさすり続けた。

そして、そのままメグは泣き疲れて眠ってしまった。

私は泣き腫らした顔のメグをソファに寝かせるとブランケットを持ってきてそっと掛ける。



メグは人見知りの私が人間関係で落ち込んでたときはいつもとなりで励ましてくれた。

私の父が亡くなったときも
「1週間ほどお世話になります」って着替えの一式入ったリュックを背負って家に押し掛けてきたのだ...
結局、1ヶ月も居候して...そのおかげで私は早く立ち直ることができたっけな...

お節介で心配性で嵐のように感情豊かな女の子だけど、それは全部周りの人を思っての行動だった...

メグには幸せでいてほしい...

眠りながらもメグの頬につたう涙を
ハンカチでそっと優しく拭う。

私に何かできることはないだろうか...