一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

「会社でおまえのクレームが私の耳まで入ってきている。
しかもそれが取引先までまわっているとなれば私も黙っておくことはできない。
おまえはクビだ。これからは自分の力で働いて社会勉強しなさい。」

田沢社長はもう一度こちらに深々と頭を下げながら謝罪すると、才加を置いてスタスタと帰っていく。

「嘘でしょ...パパ?
ちょっと待ってよ!!」

才加は血相を変えて田沢社長の後を追いかけていった。

「フンッ。この私を言い負かそうなんて
100万年早いのよ。」

紅葉はフンッと勝ち誇ったように
笑みを浮かべた。

かよ子は暫し二人の掛け合いを
茫然と眺めていたが
ハッと我に返り
「お母様、ありがとうございます」
深々と頭を下げた。

「あなたもあんな小娘に言われるままに
ただ聞くだけじゃなく
ちゃんと反論しなさい。」

「はい...気をつけます...」

「まあ、いいわ。
あの小娘にはいつかガツンと言ってやりたかったのよ。」

「あっ...あと...この素敵なドレスもありがとうございます...」

かよ子は恐縮したようにペコリと頭をさげた。

「私の見立ては間違ってなかったわね」

紅葉は満足そうに薄っすらを浮かべた。
それは見逃してしまいそうになるほどの
笑みだったが、かよ子にはそれがとても嬉しかった。

かよ子は頬を赤く染めてはにかんだ。

「それじゃあ、私はそろそろ帰るから
あなたは翼と楽しんでいきなさい」

紅葉はそう言うと颯爽と出口に向かって歩き出した。

かよ子はその綺麗な後ろ姿に
もう一度深く礼をした。