「社長、一体なにがあったんですか?」
「そんなの俺が聞きたいよ...」
「ちょっと秘書課に戻って瑠花くんに
何か知らないか聞いてきます!」
そう言って総司は急いで部屋を出ていった。
かよ子さん、どこにいる?
一体何があったんだ?
俺は部屋に入ると
棚や机の引き出しを片っ端から
開けていくが、やはり画材道具は一つも残っていなかった。
俺はもう一度かよ子のいそうな場所をあたろうとポケットから携帯電話を取り出すが、
すでに充電は切れていた。
「クソッ」
俺は携帯電話はあきらめて
今度は急いで社長室へ向かう。
そして、
社長室に入ると机の上の電話を手に取り、
マンションに掛ける。
しかし、
やはり無機質な機械音が流れるだけだった。
クソッ...
やっぱりマンションにもいないのか...
直接、見に行った方が早いな...
俺が受話器を置いて社長室を出ようと
立ち上がった瞬間、
「社長!!」
総司が瑠花を連れて慌てた様子で
社長室へと駆け込んできた。
「どうした?」
「瑠花くんが私が出張から帰ったら
渡してほしいとかよ子さんから封筒を預かっていたらしくて...
先程、中を確認したら、
私と瑠花くんと社長それぞれに宛てた
3通の手紙が入っていました。
私と瑠花くんの手紙にはアトリエに戻るから
もう会社には顔を出すことはないということと、今までの感謝のきもちが綴られてました。
社長、本当に何も聞いていないんですか...?」
そう言って、総司は怪訝な表情を浮かべながら俺に宛てた手紙を差し出した。



