そして、自分の愛車に乗り込むと
以前住んでいたアトリエへと
車を走らせた。
数ヵ月間いただけなのに、すでにこの町が
自分の居場所になっていたような気がする...
元いた場所に帰るだけなのに、
私はこの町を離れることが寂しくてしかたない...
神崎さんがいつも隣にいて...
瑠花さんや凪沙さんとランチでお喋りして...
総司さんと神崎さんの掛け合いに笑って...
一色さんがたまに仕事部屋を覗きに来てくれて...
お父さんの作った夕食を食べながら
神崎さんの小さい頃のお話を聞いて...
そのどれもが私にとっては
新鮮で大切な時間だった...
でも、もう帰ることはできない...
私の止まっていた涙が
再び溢れだしてハンドルを握る手に
ポタポタと流れ落ちていく。
車がアトリエに着いた頃には
私の視界は涙で前が見えないほど歪んでいた。
帰りたい...
皆がいるあの場所にずっといたい...
アトリエの前に車を止めて
ハンドルに突っ伏すと、
声が渇れるまで泣き叫んだ。



