神崎さんが来たあの日から
もう2週間か...


私はテーブルを布フキンで拭きながら
カレンダーを眺めた。


初めは神崎さんがいつやって来るのか
ヒヤヒヤしていたのだけど
一向にやってくる気配のないし、
そんな不安も次第に薄れてきていた。



きっと神崎さんにからかわれたのね...


そりゃあそうよ...

大企業の社長さんが私なんて
相手にしてる暇なんてないもの。

あんなに格好いいんだから
彼女だっているだろうし...


それを私はからかわれたとも知らず
真に受けるなんて...

自惚れるにも程がある。

私は顔を手で覆うと
はあ...と項垂れた


しかし、いくら考えたところで仕方ないのだから、畑の水やりにでも行こう。


私は羞恥心を振り払うように
首を思いきり横に振ると
玄関へと向かった。


そして靴を履いてドアを開けると
街へとのびる一直線に伸びた一本道に
目を止めた。


あれ?


遥か遠くに一台の黒い車が走って
来るのが見えたのだ。


誰だろう?

メグの車のボディの色は赤だし
実家の車は白だから...

えっ?まさかっ!!


私は自身の体から
一気に血の気が引いていくのを感じた


どんどん近づいてくるその車体は
先日、神崎さんが乗っていた黒のセダンに
かなり酷似している。

ど、どどどど、どうしよう!

焦った私は急いで玄関の中に入ると
すぐに鍵を締めた。


心臓がドドドドッと激しく
胸を打ち付けている。