一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

「いえ、仕事ならしょうがないですよ」


「また、仕事が落ち着いたら個別でお祝いしよう」


「はい、そうですね。メグも喜びます」


私は胸の痛みを誤魔化すように
柔らかく微笑んだ。


神崎さんの優しさが今日は胸に
痛いほど突き刺さる...


私では神崎さんを幸せにすることができない...


それどころか、お母様やお父さんまで
辛い思いをさせてしまう...


今の私にしてあげられることは
黙って身を引くことしかないんだ...


神崎さんならきっとすぐに
素敵な女性が現れる...


鼻の奥がつんと痛くなり、
慌ててビールのグビッと流し込む。

「そんなに飲んで大丈夫?」
と心配する神崎さんに「大丈夫です」と
少しクラクラしながら答える。

それから、込み上げそうになる涙を
堪えながら食事の後片付け始めた。


幸い、神崎さんは二泊三日の
京都への出張の準備で部屋にこもっていた。


食器の後片付けを終えると
急いでバスルームに駆け込む。


そして、衣服を脱ぐと
頭からシャワーを浴びた。


「う...うぅっ...」


すると我慢していたものが、一気に溢れだした。


シャワーの音が
私の泣き声をかき消し
降り注ぐ水が止めどなく溢れる涙を
洗い流していく。



今日だけは神崎さんの前で泣いちゃダメなんだ...



浴室に長い間、シャワーの音とともに
かよ子の悲痛な泣き声が響いていた。