「榊原グループの令嬢との婚約を
白紙に戻すくらいの案件とは
一体どのようなものなのですか?」

「今は調査段階だから、形にするときに
色々と頼むと思う。」

もし、かよ子さんと結婚するときになったら
総司には結婚式の準備を手伝ってもらう屋なければいけない..

俺は思わず顔が緩みそうになって慌てて引き戻した。

総司は「はあ..承知しました」と言いながらも、気になった様子でこちらをチラチラ見ながら社長室を後にした。

うまく誤魔化せたな...

総司が出ていくと安堵に
胸を撫で下ろした。

あれから寝ても覚めてもかよ子さんの
ことばかり考えてしまう自分がいる。

会った瞬間に恋に落ちるとは
このことをいうのだろう...

あんなピュアで身も心も美しい女性は今まで会ったことがない。
まるで森にすむ白雪姫をみつけたような気分だった。

綺麗な女なんて今まで、いくらでも
出逢ってきたのに...
ふいに見せたかよ子さんの笑顔を
思い出すだけで胸がキュッと締めつけられてしまう。


「よし!早く仕事片付けないとな」


俺はかよ子さんに会いたい一心で
気を引き締めると仕事に取り掛かった。