一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

私は急いで玄関へと走って行った。

息を切らせてきた私に靴を脱いでいた神崎さんは少し驚いたように顔を上げた。


「お、おかえりなさい」

私は精一杯の笑顔を向けた。


神崎さんは「ただいま」と言うと
私の顔を不思議そうに見つめながら
目の前まで足を進めた。


そして、神崎さんは私の顎をグイッと持ち上げると「かよ子さん、顔赤いよ?」と心配そうに呟いた。


「あっ、あの...ちょっと料理をしてたら
熱くなってビールを少々...」


動揺して目が泳ぐ私に
神崎さんは顎を持ったまま、
チュッと味わうようにキスをした。


「ほんとだ...ビールの味がする。
珍しいね...何かあった?」


神崎さんの言葉に心臓がドキッと跳ね上がる。


す、鋭い...


「私だって飲みたい時だってありますよ。
それより、お母様の様子はどうでした?」



「うん、俺が帰りに寄った時は
まだ眠ったままだったけど、
ただ疲れが溜まっただけみたいだし、かよ子さんは心配しなくても大丈夫だよ。仕事の詰め込み過ぎで倒れたのは今まで何度もあったしね。
それより、かよ子さんが倒れた母さんを病院まで付き添ってくれたって聞いたけど?」


神崎さんが私の心を探るようにジッと見つめる。

「そ、そうなんです...
たまたま帰ろうと廊下を歩いていたら
うずくまって顔色の悪いお母様をみつけて...」


「たまたま?ほんとに?
母さんに何か言われてない?」