一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

私のせいでお母様に負担をかけていたのかも
しれない...



個室のベッドで眠るお母様を見つめながら
私の瞳から涙が伝い落ちた。


その時、

Piririririri...

お母様の持っていた黒のクラッチバックの
中から携帯が鳴り出した。


グシッと涙を指で拭う。



どうしよう...


折角、眠っているお母様を
起こしてはいけないし...


迷っている間も電話は鳴り続けている。


ここは病院だから電源をoffにした方が
いいだろう...


「お母様、少しバックを開けますね...」


寝ているお母様に
ボソっと呟いてからバックを開けた。


それから鳴り続けるスマートフォンを取り出した。


呼び出し音と共に
画面には【神崎源蔵】の文字がうつされている。


神崎さんのお父さんだ!


私は咄嗟に通話ボタンを押した。


「もしもし、あの...かよ子です」


『えっ!かよ子ちゃん!?
どうして紅葉の携帯に?』


電話越しに聞こえるお義父さんの驚いた声に
私はお母様が倒れたことと
病院名を告げた。


『ありがとう。かよ子ちゃん!
すぐに向かうから
紅葉についてやっててくれるかな?』


いつもの優しい声にかわりないのだが
お義父さんの焦りが電話越しに伝わってくる。


私は居たたまれない気持ちで
「はい」と返事をして電話を切る。


そして、スマートフォンの通話の画面から
待受の画面に切り替わった。


そこにはうつっていたのは
神崎さんの高校時代の卒業写真だった。


すました顔で立つ制服姿の神崎さんの横で
お母様が嬉しそうに微笑んでいる。


お母様は口では厳しいことを言っても
神崎さんのこと本当に心配してるんだ...


私の瞳からポロポロと涙が溢れ出した。


私が神崎さんとお付き合いしている限り、
お母様に辛い思いをさせてしまう...


それでいいのだろうか...


私はスマートフォンの電源をoffにして
お母様のバックにそっとおさめた。