一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

「神崎さん...?」


困惑した声色で俺の名前を呼ぶかよ子さんに
「かよ子さんて魔法使い?」
俺は耳元でボソッと問い掛けた。


「へっ?」


かよ子さんからすっとんきょうな声が聞こえてきて、俺は可笑しくなって肩を震わせた。



「神崎さん、何か楽しいことあったんですか...」


そりゃそうだ...


かよ子さんが知る由もない...


俺が勝手に魔法をかけられているのだから...


俺がそのままかよ子さんを抱き締めていると、向こうから歩いてくる秘書課の女性と
カチリと目が合った。


秘書課の女性はビックリして足を止め、
頬を染めて二人を見つめているが、
俺は慌てることもなく、かよ子さんからそっと体を離した。


「かよ子さん、中で話そうか...」


俺の言葉にかよ子さんはコクりと頷くと
秘書課の女性に気づくことなく入っていった。


俺はドアノブに手を掛け
遠くに呆けている秘書課の女性に目をむけると柔らかく微笑みながら
『邪魔しないで』というように合図した。


秘書課の女性は今までに見たことのない
社長の優しい表情に顔を赤らめながら
コクコクと頷いた。


俺はその様子にフッと微笑むと
パタリと社長室の扉を締めた。