一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

お義父さんはそんな私を沈痛な面持ちで見つめるとゆっくりと口を開いた。


「かよ子ちゃん...
人は皆、誰でも弱い部分を持っているんだ...
それは決して悪いことじゃない...
かよ子ちゃんはその自分の弱い部分を
知っているからこそ、
人に優しく接することができるんだ...
その優しさに皆、安心して心を開くことが
出来るんだよ...
それはとっても素晴らしいことだと
私は思うけどな...」


そう言って優しく頬笑むお義父さんに
私は目に涙を滲ませながら、微笑み返した。


「それにもし、かよ子ちゃんが紅葉みたいな
ハッキリと言う人だったら、
翼は逃げてただろうよ...
昔から翼は紅葉に厳しく育てられたからな...」


お義父さんはハハッと笑うと、再び語りだす。


「紅葉は負けん気が強くてね、
絶対に人に弱味を見せない女性なんだ...
このホテルをここまで大きくしたのも彼女だ...
とっても努力家でね、無理して倒れるまで働くことも度々あったよ...
翼に厳しくしてしまうのも、
もっと良くなってほしいという
彼女なりの愛情なんだと思う...」


そう言ってお母様のことを語るお義父さんの瞳はいつも以上に温かさに溢れていた。


「お父さんはお母様のこと
とても愛してらっしゃるんですね...」


私の言葉にお義父さんは恥ずかしそうに
照れ笑いを浮かべる。


「ハハッ。そう言われると恥ずかしいな...
紅葉はね...裏表がない分、思っていることを
ハッキリと口に出してしまう...
きっとかよ子さんにも、
こうでなければならないという
自分の理想を押し付けてしまってるんだ。
そこがかよ子ちゃんの良いところでもあるんだがね...」


お義父さんは困ったように肩をすくめた。