一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

Side翼


次の日の明け方。

まだぼんやりと薄暗い寝室のベッドの上で
俺はゆっくりと目を開けた。


俺は腕の中で眠るかよ子さんに目を落とすと、かよこさんはまるで昨日の修羅場が嘘かのようにスヤスヤとあどけない寝顔を見せている。


しかし、その瞼はぷっくりと膨れて
赤みを帯びていた。


昨日は相当ショックだったのだろう...


ベッドに入ってからも、かよ子さんは
思い出す度にシクシクと肩を震わせて
泣いていた。


ずっと「ごめんなさい」と苦しそうに
呟きながら...


あんなにも、酷いことを言われたのにも
関わらず、かよ子さんはいっさい母を責めたりせず、それどころかずっと自分を責め続けていた。


そんなかよ子さんを守りきれなかった自分の
不甲斐なさに心底嫌気がさす。


姑になるかもしれない相手があんな母親でかよ子さんに愛想を尽かされて出ていかれてしまうのではと不安になっていたけど、俺の中で別れを選択するなんてことは
この先、一生ない...


やっと手に入れたんだ...


絶対に離したりなんかしない...


俺は眠っているかよ子さんをギュッと
抱き締めた。


「ん...」


かよ子さんは腫れたまぶたをゆっくりと開いた。


「ごめん、起こしてしまったね」


「朝ですか...?」


「まだ早いからもう少し寝てていいよ。
俺は仕事で出るけど、かよ子さんは
今日は家でゆっくり体を休めて。
寂しくなったら、いつでも携帯に電話していいからね」


「神崎さん...ありがとうございます」


かよ子さんは微笑みながら
かすれた声で呟く。

昨日、声を上げて泣いたせいで
声が出ないのだろう...