お母様が出ていくと、
私はヘナヘナと腰が抜けたように
その場にへたりこんだ。
「かよ子さん!」
神崎さんが慌ててしゃがみこむと
心配そうに私の顔を覗き込む。
「母が失礼なこと言ってごめん...」
神崎さんは苦痛に顔を歪めて頭を下げた。
私はフルフルと顔を横に振ると
ポタっと床に涙が零れた。
「かよ子さん......」
神崎さんは自分の不甲斐なさに
膝の上に置いてある拳をギュッと握り絞めた。
「神崎さん...ごめんなさい...」
私は震える声で呟いた。
「えっ...?」
「お母様がおっしゃる通りです...
私の気持ち...ほとんど伝えることが
出来なかった...
何で私...こうなんだろう...」
私の瞳から堰を切ったように
涙がポロポロと溢れ
何度も「ごめんなさい」と震える声で呟く。
神崎さんはそんな私をギュッと抱き締めた。
「かよ子さんは頑張ったよ。
ちゃんと頑張って伝えてた。
母さんが受け取ろうとしなかっただけで
僕にはちゃんと伝わったから...
かよ子さんの気持ち...
すごく嬉しかったから...」
神崎さんの私を抱き締める腕に力がこもる。
それでも、私は
「それじゃあ、ダメなんです...
お母様に伝わらないと、一緒にいられない...」
わんわんと声を張り上げて泣きだした。
「大丈夫...
いつかきっと母さんにも伝わるから
一緒に頑張ろう...」
神崎さんは泣き続ける私を
あやすように背中を擦りながら
優しく抱き締めていた。



