一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

「あっ、立花さんお疲れ様です...」


総司さんは神崎さんに続いて客間に入ると
座布団の上に腰を下ろしながら
「かよ子さん、お疲れ様。
社長とお付き合いされたそうですね...
悪いことは言いません。
やめるなら今のうちですよ?」
斜め前に座る私に真剣に訴えかけてきた。

私はフフッと困ったように頬笑む。


すると、私の隣に腰を下ろした神崎さんが
目の前の総司をギロリと睨んだ。

「おい、総司...
お前わざわざそんなこと言うために
ついてきたのか?」


「いえいえ、私はご馳走を食べに
来ただけですよ♪」


総司さんは睨む神崎さんをそっちのけで
おしぼりで手を拭きながら寿司桶を覗き込んでいる。

そんな話をしている間に
お義父さんが総司さんの分のコップや箸をお盆に乗せてやってきた。

「総司くん、翼はかよ子ちゃんだけには
優しいみたいだから大丈夫だよ♪
さあ、皆、遠慮せず食べなさい」


お義父さんは総司さんの前のテーブルにコップや箸を置きながら言う。


「いただきます。
他の者にももうちょっと優しくして
欲しいものですけどね...」


総司はハァっとこれみよがしに溜め息をついた。


「お前だけには一生優しくなんて
してやらねぇ...」

神崎さんはお寿司をパクつきながら
毒ついた。


私は二人のやり取りにフフッと
笑みをこぼしながら総司さんに
「どうぞ」と、ビールをお酌する。


「神崎さんと立花さんてとても仲良しですね」


私の言葉に二人はウゲっと顔をしかめる。


「かよ子ちゃん、
翼と総司は高校からの付き合いなんだよ」


お義父さんは私にお酌されながら、
嬉しそうにこたえる。


「えっ!?そんなに昔からなんですか!!」


私はビックリして神崎さんと総司さんを交互に見やる。


「社長がどうしてもとしつこいので
仕方なく秘書になったんですよ...」


「その減らず口でどこも貰い手がないと
思った俺の優しさだ!」

神崎さんがぶっきらぼうにこたえる。

「そんな前からの付き合いだったんですね...
私も昔の神崎さんを見てみたかったな...」

私は羨ましくなって思わず呟いた。