そして、助手席の窓が下がり、
顔を出したのは少し白髪混じりの
作業着を着た見知らぬ男性だった。
その人はニコッと顔を緩ませると
「かよ子ちゃん...?」
と、聞いてきた。
私は驚いた表情で
少し辺りを見渡したが、近くに女性は
自分だけだった。
やはりその問いが
自分に向けられたものだとか分かると
戸惑いながらも口を開く。
「はい...私は杉崎かよ子といいますが...
どこかでお会いしましたか...?」
「いや、会ったことはないけど
お会いしたいと思ってたんだよ。
私は神崎源蔵(げんぞう)と言って
翼の父親です」
お義父さんはそう言ってニッコリと
私に頬笑みかけた。
えっ?!神崎さんのお父さんっ?!
私が驚いたまま、立ち尽くしていると
「よろしくね!かよ子ちゃん!」と
お義父さんはお茶目にウインクを投げ掛けた。
私は神崎さんとは似つかわしくない雰囲気に、
本当にお父さんなのかとまじまじと見つめた。
でもそう言われてみれば、笑った目元が
神崎さんにそっくりだ...
ハッ!そんなこと考えている場合じゃなかった!
「す、すみません!
お父様だと知らず、失礼しました!
こ、こちらこそ、よろしくお願いします...」
私は勢いよくお義父さんに向かって頭を下げた。



