一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない



「あっ、そういえば絵の具!」


突然、私は白い絵の具を落としたことを
思い出し、床に目線を落とした。


「絵の具?」


神崎さんもつられて目線を下に向ける。


「あっ、もしかしてこれかな...?」


神崎さんが革靴を少し上げると
その下に中身が飛び出した絵の具が
ぺしゃんこの状態で転がっていた。


「ごめん...」


「いえ、でも革靴汚れてしまって...」

神崎さんの靴のへりに少し白い絵の具が飛び散っていた。

「替えは社長室にあるから大丈夫だよ」


神崎さんの言葉に私はホッと肩を撫で下ろす。


そして、私達はもう一度ぺしゃんこになった
絵の具を見つめた。


「・・・・・・」


そして少しの沈黙のあと、
思わず「ぷっ」と二人同時に吹き出した。


「じゃあ、これから一緒に買い出しに行こうか!」


「神崎さん、お仕事は大丈夫なんですか?」


私は神崎さんにウエットティッシュを渡しながら心配そうに問い掛けた。


「まあ、今戻ったところで総司にグチグチ
嫌味を言われるだけだから...
どうせ怒られるなら、もう少しサボっていくよ」


神崎さんは私からウエットティッシュを受け取ると靴についた絵の具を拭きながら
いたずらに微笑んだ。


私は少し戸惑ったものの、
「立花さんには少し悪い気もしますが、
私ももう少し神崎さんと一緒にいたいです...」
そう言って、悪戯に微笑んでみせた。


そして、私達は仲良く絵の具の買い出しへと
出掛けて行った。