「何の用だ?
俺はお前みたいに暇じゃないんだが」


俺はうんざりしたように車の窓際に肘をついてはぁっとわざと大きくため息をついた。


「ちゃんと責任取ってもらうって
言ったわよね?」


「お前が勝手に言ってんだろう?
責任なら他のやつ探して取ってもらえ。」


「そう...あくまでも責任回避するつもりね...
杉崎かよ子さんって言ったかしら...?
可愛い子よね...」

凪沙はクルクルと綺麗な巻き髪を指で遊ばせながらチラりと後部座席の俺へ目を向けた。


「お前っ...かよ子さんに会ったのか?」


かよ子さんに何か酷いことを言っていないかと不安が頭を過り、俺は殺気の孕んだ目で凪沙を睨み付けた。

さすがの凪沙も俺の鬼のような形相に
慌てて口を開く。


「勘違いしないで!純粋にお友達になっただけよ!」


「はあ?お前とかよ子さんが友達?
性格の悪さが移るから今すぐ止めろ!」


「誰が性格が悪いのよっ!?」


「社長、さすがに女性に対して言い過ぎですよ!」


二人の話にあきれた様子で
総司が割って入ってきた。


「そうよ!
私は性格悪くなんてないわ!」


凪沙は憤慨したように腕組みをしながら
口をへの字に結んでいる。


「そうですよ、社長。
凪沙様は、高飛車で我が儘で傲慢なだけですよ。」


総司の言葉に俺は思わずブッと噴き出した。