一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

それから午前中は
秘書課の瑠花ちゃんに会社の中を案内してもらった。

「かよ子さんの方が年上ですし、私のことはちゃん付けでいいですよ」

そう言う瑠花ちゃんは人懐っこい雰囲気が
少しメグに似たところがある。

私もあまり緊張することなく
早く打ち解けることができた。


昼食も瑠花ちゃんと食堂の使い方を
教えてもらうついでに一緒に食堂へと向かった。


「かよ子さんって社長の彼女ですか?」


向かい側に座る瑠花ちゃんが目を輝かせながら聞いてきた。


「ゴホゴホッ...ち、ちがいます...」


私はうどんが気管に入り
慌てて水を流し込んだ。


「ほんとですか~?
社長、かよ子さんには優しいし
もしかしたらと秘書課で話題になってますよ!」


「いえ...そんなまさか..」


「なんだー違うんですか。」


「はい。ただお仕事を依頼して頂いただけです。」

神崎さんも私と噂になったのでは仕事がやりにくくなるだろう。
神崎さんと一緒に住んでいることは伏せておこう。


「好きになるのもしょうがないですよ。
だってあれだけのイケメンですもん。
私も社長の気を引こうと
この前お弁当作ってきたのに撃沈しました...」


瑠花ちゃんは箸を口に当てはぁっと溜め息をついた。


「撃沈...ですか...?」


「はい...怒られてしまいました。
でもまあ、憧れというか...
あわよくば玉の輿狙ってただけなので大丈夫です!
週末は営業部と合コンですし♪」


「合コン...?」


「合コンを知らないんですか!?
男女で楽しく食事したり
お酒を飲んたりする出会いの場です!
かよ子さんも今度参加しますか?」


「いえ...私は大丈夫です...」


「かよ子さんなら美人だし、
社長もコロッと落とせそうですけど...
あっ!でも、んー...」


瑠花ちゃんは何だか言いにくそうに口ごもったので、私は首を傾けた。