「早希さんを見送りに行かないの。お兄ちゃん」
「うん。辛いから来ないで欲しいって」

 二度と会えないみたいな気持ちになってしまうから、見送りなんか来ないで欲しいという。二度と会えないわけではないけれど、しばらく会えないのは事実だ。イギリスに行ってしまう彼女と、たまに帰国するにしても今までのように簡単に会えるものではない。

 だから僕としてはちゃんと見送ることで、自分の気持ちの整理をつけたかった。しかし早希の言うこともわからなくはない。