もしも僕に知識がなかったら、目に見えるこの景色に付け加えるものは何もないだろう。見たままをそのまま受け入れるだけだ。しかし僕は知っている。知っていることが何事においても必ずしも良いこととは限らないことも、今では知っている。

 そのセイタカアワダチソウが咲いている脇をゆっくり歩いて三ツ谷家に着いた。