中年の男が早希に身体を寄せ、その肩に手を置いたのが見えた。早希が身をよじり男の手を払う。

 その様子は・・・まるで・・・恋人同士のようだった。

 信号が変わり、白いレクサスがゆっくり動き出す。

「早希」

 大切な人を呼ぶ僕の声は、小さく掠れてしまい声にならず、早希は僕の存在に気づかないまま、僕の視界から消えた。