おとぎの檻




「愛していますよ…朝佳さん。僕が貴女を
守ります。この幸せな檻の中で永劫に愛を
重ね合いましょうね」



頭の芯が深く痺れるような口づけをされる。


舌がわたしの舌をなぞって、愛おしむ。



次第に、強い睡魔が押し寄せてきた。




「最…低」

「ふふ、貴女のためなら
悪魔にでもなりますよ」



「いつか…必ず…捕まるから」



あんたなんて…あんた、なんて…



必死の抵抗を見せるわたしに、男は極上の笑みを降らせた。




「捕まりませんよ。
僕、かくれんぼ得意なので」


「……」


「貴女のことは誰にも渡しません」




声が遠くなる。


「おやすみなさい、朝佳さん」



そんな甘い声は、わたしを深淵へと
引きずり込んでいった。