おとぎの檻





「朝佳さん、大丈夫ですか?気持ち悪いんですね…。貴女は普通の女の子ですから、
人の頭部など見るのは嫌だったでしょう。ごめんなさい」



男は心配げにわたしの背中をさすると


膝裏に腕をまわして、わたしのことを軽々と抱き上げてしまった。



「お、ろして…いや…」


「おろしません。もう眠りましょう?夢の中でなら怖いことは起こりませんから。ね?」



ふわりとベッドに横たわらせられる。



「大丈夫ですよ。僕がそばにいますから。
ずっと、ずーっと。邪魔者たちがいない世界で2人末永く暮らすのです」


「やだ…いやぁっ」


「苦しかったですよね。汚らしい人間たちに好かれて囲まれて生きていくのは、さぞ大変だったでしょう」




男にはもう何を言っても通じなかった。


わたしを手に入れるために

わたしを壊そうとしている。