「ぁ…」
恐怖のあまり声が出ない。
体も石のように硬直してしまって
愛おしげに見つめてくる男の唇を受け入れることしかできなかった。
この異常者は、もう何度もわたしにキスを
している。
大切なものを何もかも奪っておきながら、
悪びれもせず、何度も。
「こいつら全員邪魔でしかたありませんでした。なので、朝佳さん含めて丸ごと誘拐させてもらったのです」
「いや…いや」
「まずは貴女を眠らせて。一人一人丁寧に
殺していきました。特に恋人の彼にはずいぶん嫉妬させられたので、一番長く体を嬲って殺してさしあげましたからね」
男は目じりを下げ、わたしの恋人だった
モノの頭部を一瞥する。



