おとぎの檻




「記憶など消えてしまうくらい長い間、朝佳さんは僕に眠らされていたのです。そしてこうして今日、僕のキスで目覚めた。まるでおとぎ話のようですね」


「ん…んぅ」



指を絡められ、シーツに縫いつけられる。
深く背中が沈んだ。


男はわたしが"目覚めた"と言っているけど
何かおかしい。


万が一、今日
わたしを目覚めさせるためにキスをしたと
いうのなら


どうしてまた薬を飲ませる必要があったの?



「あなた…また、んぅ、わたしのこと…
眠らせようと…してる?」



食まれながらも必死に言葉を紡げば、
男は唇を合わせたまま動きを止めた。


まるでそれが、答えのように。