「ふふ…やはり、貴女には僕がいればいいのです。家族も、友達も、恋人も。僕以外、必要ないのです」 男はわたしの両頬を包みこむと、 唇を合わせてきた。 食べるようなキス。 とでもいうのだろうか。 深くて熱くて、決して綺麗じゃないドロついた愛をつま先まで注ぎこんでくる。 「取引成立です。 僕のことをお教えしましょう」 乱れた息をこぼしながら、両まぶたに惜しみなく口づけられる。 男はキスをやめることはせず、その合間に語りかけてきた。