おとぎの檻




すると、男の動きがピタリと静止する。


ふんわりとした髪がわたしの頬に
当たって、くすぐったい。


しばしの沈黙が走ったと思えば




「もう一回…
"好き"の部分だけ言ってください」


「え…」


「言わないと、服全部脱がせます」


「……」




気のせいだろうか。
さっきまでの狂気や怖さがどこにも
感じられない。


言うならば、ちょっと子どものような…




「…好き」

「もう一回」


「好き」

「もう一回…」


「好き。好きです」



しつこいから2回続けて言ってあげれば。




「僕も…好きです」




どこか照れたような声が返ってきた。