おとぎの檻




男の息に乱れが生じてきた。

はあ、はあと。


目の前の男は人間ではなく、本当に獣なのではないかという錯覚に陥りそうになる。



犯されるか

男に「好き」と言うか





「朝佳さん…早く。早く決めて」



男が苦しげに首すじを舐めてきて
熱い息がかかって、かなり我慢をしているのだと伝わってくる。




ほんとう…なんてひどい二択なの。






「佐野 朝佳はあなたのことが…好き」






震える唇で、言った。