「僕は知っているのです。貴女は恋人と
まだ関係を持っていないことを」
「そ、れは…」
そうなのだろうか。
よく思い出せない。
ただ、性的な行為で得られる満足感のようなものを、この体からよみがえらせることはできなくて。
つまり、そういうモノをわたしの体はまだ知らないのだろう。
「ずっと見ていました。ずっとずっと。
可愛らしさと美しさが共存した天使のような存在である貴女のことだけを」
恍惚と
まるで独り言のように言い綴る男。
ずっと…?
わたしをずっと見ていたって?
「そろそろ理性が効かなくなりそうだ。さぁ早く、僕が獣になってしまう前に復唱してください
佐野 朝佳はあなたのことが好き」



