おとぎの檻




その後も、たくさんの言葉を唱えられては

刻印をされた。



「佐野 朝佳は友人などいらない」

「佐野 朝佳はすべてを捨てる」

「佐野 朝佳はあなたのためにある」



こんなの…言えるわけなかった。


だって友達も大切だし
わたしはわたしだけのモノだもの。


自分が見ず知らずの人間のために存在するなんて、そんなの嫌だった。




「まったく…困ったお姫様ですね。手がこんなになろうとも、頑なに僕の欲しい言葉をくれないなんて」



わたしの右手はもうボロボロだった。

痛みはあるが、それ以外の感覚はない。


もういくつ刻印されたのだろう。