「亜美ちゃんなんで起こしてくれなかったの!」


「あいつは心音連れて7時には出てったぞ」


「は、はやい………」




そんな早く出て行ってお店開いてるのだろうか。




「俺は別にチェックアウトまでホテルでゆっくりしててもいーけどな」




ふぅあ…っと大きな欠伸をする蒼空さんはソファーに座る。




「…………二日酔い、大丈夫?」


「あ?…あー、今回はなんともねーな。


心音をベッドに運んだ辺りから記憶ないけど」


「…………、…え?」




化粧をする手が止まる。




「…記憶、ないの?」


「全く。気づいた時にはソファーで寝てたし」




だから腰いてぇ。なんてちょっと笑う蒼空さん。


わ、笑えない…………




「ん?なんだよ。


………まさか、

俺お前になんかした?」


「し!………っ」




した!キスした!


そー言おうとしたけど




「……してない。私すぐ部屋に帰ったし」


「あ、そう。なら良かった」




安心しきった顔。


その顔に私の心はちょっと傷ついた。




(言ってどーなる…蒼空さんには彼女がいるのに)




言ってしまったら、


ただ気まずくなるだけ。


せっかく旅行に来ているのに、そんな空気にしてしまったら楽しめるわけないし




「ちょっと寝るわ」




準備できたら起こせ。ってすぐに眠りについてしまった蒼空さん。



と、それを見つめていれば何かが私の頬に伝う




(…あれ、なんで涙が出るの……)




急いでその涙を拭った。



好きって気づいてしまったけれど、よくよく考えれば蒼空さんにはあの綺麗な彼女がいて


チビで子供っぽい私には勝ち目なんて全くなくて。




(恋愛って、しんどいなぁ…)




好きって気づかなければ良かった、


そう思った。