中に入ると、ここもまた新鮮で。
「こんな感じなんだ…」
「前よりちょっと広くなった」
確かに、前の家と比べればちょっとだけ広くなった気がする。
「で、その依頼書は俺宛?」
中に入って早々、蒼空さんは私の手に持つその紙の存在に気づいていたみたいで
「あ、……うん。」
ゆっくりと、その紙を手渡した。
「辞めてからこの紙眺めるの2回目だわ」
確かにそうだ。1回目は私が書いて渡したもの。大学の卒業式の時にね。
「書いたのは私じゃないけど…」
何を書いているのかは、分からない。
だって見てないから。
ずっと握り締めてここまでやってきた。
確か依頼内容は"雑念を追っ払って"って書いてある気がする。心音さんが言ってたし。
「………………」
ジッ、と。
紙を見つめる蒼空さんを黙って眺めた。
なんて言うんだろう…
「しょうもない」とか言われそうだな…
確かにしょうもない内容だと思う。
だって、こうなったのは、いっぱいいっぱいになってしまった自分自身が悪いのだから。



