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新たなメンバー











「陽葵さん!完成しましたぁ!!」





やっとの事で完成したそれを陽葵さんに提出。



もちろん上手だと褒めてくれて、早速それを周辺に貼り出すことに。





チラシ配りは心音さんで、張り紙は私が担当。




貼る場所は前のワンコロちゃん捜索の時と同じ場所にしようと勝手に決めていて、






「こんにちは~!」






浅川さんのパン屋さんにもお願いすることに。






「張り紙?いいよいいよ!貼ってって!」


「ありがとうございます!!」






浅川さんは毎度笑顔で許可してくれる。



ほんと有難いなぁ。





レジ付近の場所にペタリと1枚貼らせてもらい、ついでにパンを買っていこうと美味しそうなパン達を眺める。



その時「いらっしゃいませ~」っと声をかけてくれたのは、浅川さん夫婦でもなければ湊くんでもなくて、






(……新しい人かな?)






30代?くらいの女性がこのパン屋さんの制服を身にまとって、パンの補充をしていた。



どうやらその人以外にもカフェの方で見たことのない方が働いている。






(私が知らないうちに新人さんが増えたんだな~)





浅川さんが依頼に来たときは確か、求人募集しているのに誰も来なくて困ってるって言っていたのにね。



それが今じゃ働き手が増えていて、なんだかホッと安心。













「────あっ。月姫さん」





パンを選んでいる間



聞き慣れた声で私の名前を呼ぶのは湊くんで






「あれ、どこか出掛けるの?」






そんな彼はパン屋の制服ではなく私服姿。






「はい。友達とご飯食べに行ってきます」


「へぇ~!珍しいね。今日はお仕事休みなんだ?」





湊くん、学校終わりはいつもここでお手伝いしていたから、なんだか珍しいという気になる。






「まあ…そうですね。僕の代わりに働いていただける方が増えたので。……ちょっと時間を持て余しています」






予定がある日以外は家の中でゴロゴロするか勉強をするかの二択らしく、






「…………ねえ、湊くん」


「はい。」


「他の所で働いてみるのはどう?」


「他の所……ですか?」


「うん!例えばなんだけどさ……」






レジ付近に貼った張り紙を指差しして






「こことか!」






求人募集中の陽葵何でも屋に、湊くんを誘う。






「ここって……」


「うん!私が働いてる所!
蒼空さんが辞めてから人手が足りなくなっちゃって、新しいメンバーを加えようって話になってるの。
………どうかな?」


「………………」






ジッとその紙を見つめる湊くん。



私も一緒になってその紙を眺めた。




我ながら上手に出来ているなぁ。
なんて、自画自賛。







「………、……考えさせて下さい。」


「あ、うん!気を使わなくていいからね!
やってみたいと思ったら、また教えて?」




「…………はい」







迷いの目を見せた彼。





その顔はどこか不安げにも見えて








(あまり食いついてなかったや)



事務所までの帰り道に
ふとそんなことを思った。






まあ、この仕事って特殊だもんね。



困っている人を助けてあげたいと思えるような気持ちがないと、ちょっと厳しいし。







(湊くん、向いてると思うんだけどなあ)






この間一緒にブレスレットの捜索を手伝ってくれたとき、見つかった瞬間嬉しそうに微笑んでいたんだもん。





やっと終わった。というよりも、

見つかって良かった。そんな顔。





咄嗟に出た表情が

ホッと安心したような顔になるのだから


きっと、向いてると思うんだ。