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「月姫さん月姫さん」





お客が0の今、陽葵さんがデスクから私を手招きした。





「なんですか~?」


「この間のようにチラシを作ってほしいのですが」


「えっ!いいですよ!!やりますやります!」


「ありがとうございます。内容はですね……」






どうやら、この陽葵何でも屋に新たな求人を求めるみたいで。





「3人だけだと足りませんからね……出来れば2人、いや1人は新しく加えたいと思っています。」





「あら~いよいよ新たなメンバーが加入するのね」






キッチンにいた心音さんが手作りプリンを片手に私たちのもとへ。





「なんだか…久々ですね。新たにメンバーが加わるなんて」



「そうね~最後に入ってきたのが月姫ちゃんだから、もうだいぶ前よ。


……あぁでも、その後も何人か入社希望で面接に来ていた子もいたわね~」


「え、そうなんですかっ!?求人募集していないのに?」


「そうなのよ~ 主に、蒼空狙いでね。
1度ここに依頼人として来た人が蒼空を一目見て"ここで働きたいです!"なんてこともあったわよ」


「(し、知らなかった……)」


「でも今回は蒼空目的で来る子もいないだろうし安心ね。まあ逆に、月姫ちゃん目的で来る子がいるかもしれないけど」






そう言って、心音さんはクスリと笑う。



えーと、からかわれてるのかな。






「そんな人いませんよ~私モテませんし!」


「あら、分からないわよ?月姫ちゃんが気づいていないだけで、世の中には相手を傷つけないために自分の気持ちを押し殺している人もいるんだから」





その言葉が妙に納得できた。






私も……そうだなって。



忙しいだろう彼を疲れさせないために、
会いたい気持ちと寂しい気持ちを押し殺しているのだから。










そんなこんなで始まった

求人募集のポスター&チラシ作り。




陽葵さんからいつものようにノートパソコンを貸してもらい、それを空きコマなどを使って作り始めた。






(次はどんな人が来てくれるんだろう。 私的には女の子がいいな~)






現時点、一応男の人しかいないもんね。






(………あ。亜美ちゃん!!)






ふと浮かんだのは心音さんの事が大好きな亜美ちゃんで、一緒に働いているところを想像してみるけど






(いや、ないな……)






きっと心音さんにベッタリで仕事どころじゃなさそうだ。



申し訳ないけど亜美ちゃんの顔を頭から追い払って、作業を進める。





その途中、千恵の顔が思い浮かんで誘ってみるも







「え、やだ。」






の一言。



理由は「桜井さんいるならちょっと考えたけど、もういないし。てゆーか人様の困っていることを手助け出来るくらい、今の自分に余裕ない。」とのこと。




まあ…うん、そうだよね……




2回生になってから少しだけする事も増えて、


千恵はTOEICを2回生最後までに800点とることを目標に頑張っているから…今それどころじゃないもんね。






(やっぱり身近な人ではいないかぁ……)






出来れば身近で仲良い人がいいんだけどな、

まあ私の勝手な判断なんだけどさ。