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「お前のやりたいことって…」
「横に並んで講義を受けること!」
あの場所から近くの校舎の教室へと移動した私達は、真ん中辺りの席に横並びに座って、講義を受けるスタイルに。
もちろん講義はないけど、エアーでね。
「一緒に講義受けてみたかったな~」
「受けたことあるだろ」
「朝のやつでしょ?でも隣に座って受けたことはないじゃん」
あの時の蒼空さんは毎度華さんと一緒に座ってたっけ。
(後ろから消しゴム投げたこともあったな~)
コントロールが良すぎて
しっかり蒼空さんの頭に命中したんだった。
思い出せばクスリと笑ってしまう。
「……なに笑ってんだ」
「別に~?あ、そうだ。次は教卓から蒼空さんの姿見てみたい」
「なんだよそれ」
「いいからここに座ってて!」
ガタッと立ち上がり、教卓へ。
ああ、やっぱり、眩しい。
遠くにいるのに輝いて見えるからすぐに見つけられる。
「蒼空さんよく先生にあてられてたでしょ」
「あー、うん。なんで?」
「秘密~」
だって凄く目立ってるから。
「じゃあ問題」
「急だな」
「ここに書くから答えてね」
蒼空さんに背を向けて、ホワイトボードに文字を書く。
「さあ、答えをどうぞ!」
振り向いた矢先、目の前には蒼空さんの姿が。
「ちょ、座っててって言ったじゃん…」
「見えねーんだよ」
……あ、そっか。
蒼空さん目が悪いんだっけ。
その事をすっかり忘れてて小さな文字で書いちゃった。
「問題というよりも、質問だろこれ」
「あ、ほんとだ。まあまあそーゆーのは一旦置いといて、返事を聞かせてよ」
ホワイトボードに書いたものは
『依頼、してもいい?』
その1文。
「じゃあノーで。」
「えっ」
まさかの返答に分かりやすく顔に出すと、蒼空さんはクスリと笑う。
「嘘だよ。なに?俺に依頼したいことって」
教卓にもたれかかる彼。
「じゃあイエスって事でいいよね」
「あー良いよ。だからさっさと言え」
「じゃあ────」
ポケットから1枚の紙を取り出す。
その紙は、事務所にある紙で
「教室で隣の席に座りたい。…まあこれはさっき叶ったからもういいとして、スーツ姿を写真に収めたい。そしてそのままツーショットを撮りたい。甘い物を食べに行きたい。壁ドンされたい。頭を撫でて欲しい。キスがしたい。笑顔を堪能したい。あとそれから……」
「山ほどあるな…」
「ま、まだあるから!!」
まだ沢山あるけど、言ってたらキリがない。
でも、その中でも
大事なことが1つあるんだ。