「綺麗に着付けてもらってるのに、あいつのせいでちょっと乱れてるね…」






そう言って、乱れている場所を優しく直す優さん。



その手に華さんは怯える様子はもちろんなく、






(………あ、れ?)






華さんの頬が、ほんのりと、赤い気が。







「…………ん?」



「あ。」







優さんと目が合うと、彼は未だに気まずそうにする。




もう気にしてないって言ってるのになぁ…







「来てたんだ…」


「来ちゃダメなんですか~?」







意地悪く微笑んでそう言えば、






「そんなことないよ。
キミにもう一度謝りたいと思ってたから
来てくれて良かった。

本当に……いろいろとごめん。




そして、ありがとう。」







私にも見せてくれた



優しい目をしてふわりと微笑むその顔を。







「………優さん、」


「…? うっ…」


「月姫ちゃんっ!?」







そんな彼のお腹に1発パンチを入れた。



軽くしたつもりだけど…ちょっと強かったみたい。





殴られた場所を手で押さえて眉根を下げる彼。







「謝ったら殴るって言ったはずですよ!」


「………そうだった。ごめ……っ、」






また謝りかけた優さんは途中でギュッと口を紡いだ。







「優さん……?」


「今のはノーカンじゃない…?」


「目、瞑って下さい」


「えぇ……」







そう言いながらも、ちゃんと目を閉じる彼。




「月姫ちゃんっ」と華さんはハラハラしながら私を見ていて、そんな華さんの頬は未だに薄らと赤くて──








「次こそは幸せにするって誓って下さい」






殴ると見せかけて、優さんの耳元でそう告げた。







「…………え?」







薄らと目を開けた彼はキョトン顔。







………うん、まあ、そのうち分かってくれるはず。



その言葉の意味を。








「じゃあ私はこれで!」


「あ、うん……」







「月姫ちゃんっ」








背中を向けた私に、呼び掛けたのは華さんで









「また、2人の笑顔見させて下さいね!!」









ニコリと笑ってその場を後にした。





そう約束をして──。