「華ちゃーん」





遠くから華さんを呼ぶ声。



私もその声に視線を向ければ
見た事のない男の人がそこにいて、




スーツを着ているから卒業生かな?







「………?」






華さんは首を傾げていて、きっと華さんも誰か分からないんだと思う。




他の先輩達はその声に気づいていない。






「俺、華ちゃんと喋ってみたかったんだよね~ あっちで喋んない?」


「えー…と、ここじゃダメなの?」


「うん。2人っきりがいい」






そう言う男の人は華さんの腕を強引に掴む。






「っ、」


「あっち行こ?」





……あれ。



なんか、ちょっと、危険な予感がする。






華さんもその予感を感じたらしく







「ごめん……ちょっと、嫌かな」


「なんで?何もしないって」


「……信用できない」


「しないって言ってんだろ。喋るだけだって」






その人が力任せにグッと華さんの事を引っ張るものだから






「あのっ!!!」




止めようと、1歩踏み出す。…が。








「華。」






私よりも先に



前に出たのは







「写真、撮ろ」




「優っ…」






ニコリと微笑む優さんで。







「だからその手離してくれる?」


「はぁ?俺が先だろうが。写真なんて後でいいだろ」


「写真、華には笑顔で映って欲しいんだよ。……恐怖に染った顔を見るのはもうこりごりだからね」






そして男を見下ろすように







「さっさと離せよ」






久々に見た冷たい目。




とても低い声で、目の前の男を睨む。






「っ………」






その目に、


男は怯えるように
チッ、と舌打ちをして






「もーいーわ」






華さんを掴む手を離した。







(すごっ……追っ払っちゃった)





「ありがとう、優…」


「ううん、全然。
華と写真撮りたかったのは本当だから。



……その綺麗な姿、俺の携帯に残してもいい?」






さっきの目つきとは打って変わって、


華さんを見る目はとても優しい。