"勝手に上がってくんなよ…"
そして再び蒼空さんの姿が映る。
あ、そうだ。
この人、蒼空さんの友達だ。
バレンタインの日、蒼空さんの友達と喋ってた時、いた人だ。
"いいじゃんいいじゃん!蒼空が引っ越す前にいっぱい思い出作りたいんだよ俺らは!!"
"卒業式の日に会えるだろ"
"1日じゃ足りねぇよ!!!!"
"あ、蒼空の彼女だ"
"うそ!私も喋りたーい!"
"月姫ちゃん元気~?"
「は、はいっ…!!」
(わわっ…!いっぱいいる!!)
何人?何人いるの?
10はさすがにいないよね?
そう思ってしまうくらいに男の人と女の人が大勢いる。
"てか来るなら連絡入れろ"
"サプライズ的な~!"
"普通に困る。はぁ……まあもういいわ。
ごめん、月姫。またかけ直す"
「ううん!大丈夫!
私そろそろ寝るところだったし!」
"………分かった。"
パッと画面が切り替わり、テレビ電話は終了。
寂しい気持ちはあるけど
まあ仕方がないよね。
蒼空さんと喋りたい人は私だけじゃない。
だから、独占しちゃダメだ。
(それにしてもびっくりしたなぁ…)
急にみんなで遊びに来るなんて、
なんだか大人って感じ。
まだ繋がったままの電話。
聞こえてくるのは楽しそうな声。
" 月姫 "
名前を呼ばれて
反射的に携帯を耳にあてると、
"俺は、早くお前に触れたいよ"
「っ!!!」
私の反応を見透かしているみたいで、電話越しに聞こえるのはふっと鼻で笑ったであろう彼。
" おやすみ。"
プツッ…と電話が終わると、部屋の中は静けさでいっぱいになる。
けれど蒼空さんのせいで鼓動だけは激しく鳴り続けた。
「バカっ……」
この状態で寝れるわけないじゃんか…。



