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「それでその指輪を貰ったと」


「えへへ~」





あれから数日。私は千恵と入学前オリエンテーションの手伝いとして大学の入口で冊子配りをしている。




もちろん私の手には例の指輪をつけて。





「いいな~その幸せ分けて欲しいよ」


「うん!分けてあげたい!」


「ニヤニヤしちゃってさ~」





しょうがないじゃんか。



指輪を見ると自然と口元がニヤけちゃうんだもん。





「1人1冊ずつ持っていってくださーい」





ニヤける私を差し置いて、千恵は黙々と仕事をこなす。




私もちゃんとしないと!





「1冊ください」


「あ、はい!どうぞ~……って、湊くん!!」





さっそく仕事を始めた矢先、私から冊子を受け取った人はその名の通り湊くんで





「あれ、知り合い?」


「うん!ちょっと仕事関係で」


「ふぅん? こんにちは~」


「こんにちは…」





隣にいた千恵に話しかけられると、湊くんは少し戸惑うように軽く頭を下げていた。





「そっか湊くん今年入学だもんね~」


「はい。」


「あ、そうだ!良かったら大学案内するよ!」


「え。でも……」


「ちょっとくらい抜けても大丈夫だよね?」






千恵にそう確認すれば、
千恵は「任せろ」と親指を立てた。





「その代わりディアマンクッキー2個ね」


「了解っ!!じゃあ行こう湊くん!」


「あっ……はい、」













大学に湊くんがいるのってなんだか不思議な感覚で、






「ここが食堂であっちにはカフェがあって
たまにキッチンカーも来てくれるの!」





楽しくなっちゃって
ついつい早口になってしまう。





(私も先輩って呼ばれる学年なんだな~)





蒼空さんに言われたもんね


先輩としてしっかりしないとなって。





今こうやって案内している所を蒼空さんに見て欲しいくらい。





「結構広いですね…」


「そうだよね~私も未だに知らない教室ばっかりだよ!学科によっては使わない校舎もあるけどね。例えば~」





校舎に気を取られていて





「月姫さん」


「ん?わっ…と、」





湊くんに腕を引っ張られると、目の前に木があることに気がついた。






「わぁ…ありがとう、よそ見してた…」


「いえ。」





掴まれている腕はパッとすぐに離される。






ああもう、鈍臭いの直さなきゃなのに…




なんだか私、湊くんに鈍臭いところばかり見せてる気がする…。