「て、てか!なんか慣れてない?ここにのぼるの」


「昔よく使ってたから。入りたての頃、抱きついてくる心音が怖すぎてここに逃げてた」


「あぁ……心音さんフレンドリーだもんね」


「あれはフレンドリーの度を超えすぎてるだろ」


「確かに」






2人してクスリと笑う。






「4年間あっという間だった?」


「まあ…そうだな。まず自分の年齢が今年で23歳ってことにも衝撃だわ」


「いいじゃん23歳!!大人って感じするしさ!」


「お前は何歳だっけ。16歳?」


「19歳!!!!!」






………あれ?



このやりとり、身に覚えがあるな。





(ああ、そうだ確か……)




寒い中川で指輪の捜索をしていて、川に落ちた私は熱を出しちゃって、この事務所で蒼空さんに看病してもらった時だ。





懐かしいなぁ……あれから随分経ったみたい。




その頃よりも前の私は、短気で毎日のように言い合いをしていた蒼空さんになんて興味なくて、寧ろ嫌いでムカつく存在だった。




けれど同じ布団で抱きしめられて寝たあの日から…私は蒼空さんのことを意識し始めたんだ。




………なんとも簡単な女だと思うけど、だってそれまで恋愛経験なかったんだから仕方がないじゃんか。





それからといい、蒼空さんに触れる度に心臓が煩くて、みんなで行った遊園地での初キスは今でも忘れられない。



蒼空さんが酔っていたこともあるけど、酔った勢いだったとしても、それはそれでよかったんだと思う。





あの事がなければ自分の気持ちに気づけずにいたと思うから…







「ねぇ、蒼空さん」





そして1つの疑問が脳内に浮かぶ






「私の事いつ好きになったの?」



そう言えば知らなかったなって。








「…………………」





蒼空さんは一瞬考える素振りをみせたが、





「いつだろうな」





まさかの自分でも分からないといったところだ。






「気づけばお前のことを目で追ってた。


お前が亜美の兄に連れ出されていたときだって、お前のことを目で追っていたから助けにいけたんだと思う。



……まあ、その辺から少しずつ意識し始めたんじゃねーの。」






少し照れくさそうに眉根を下げる彼。いつものように眉根を寄せる姿とは真反対だ。







(じゃあ蒼空さんも一緒に眠ったあの日から、少しずつ意識し始めたってこと?)





そうだとしたら




あの依頼を受けて良かったなとか

私川に落ちて良かったなとか

熱が出て良かったなとか






いろいろ思うことはあるけど、





ひっくるめてしまえば






『蒼空さんと一緒に働けて良かった』





きっとそれが1番だ。