「そうそう!私チェリーパイ焼いてきたの!みんなで食べましょ~!」
「俺はいつもの2倍な」
「蒼空には別にワンホール作ってあるわよ♪」
「え、まじ?」
(嬉しそう……)
分かりやすいほどに嬉しそうな顔をする。
「甘い物だったらなんでも喜んで受け取ると思うわよっ」そう言っていた通りだな~って。
「僕からはこれを」
小さめの紙袋を蒼空さんに手渡す陽葵さん。
言っていた通り、たぶんあの中身は名前入りボールペンだと思う。
もちろん中身はまだ知らないだろうけど、
「いいんですか?ありがとうございます」
これも、とても嬉しそうな顔。
何をあげてもきっと蒼空さんは喜んでくれる。そうは分かっていたけど………
(結局欲しい物教えてくれなかったし…)
聞けば聞くほど
「もう少し待って」
と、焦らされた。
そんなに悩むもの?
何がいいのか分からず、結局菓子折り1つしか買えていなくて。
(菓子折り以外に何か買っておくべきだったなぁ…)
みんなちゃんと用意しているのにね。
ちょっぴり後悔しながらも、お手洗いに行っていた私は2階へと続く階段を上る。
「…………あ。蒼空さん」
そこには壁にもたれ掛かる蒼空さんがいて
「もう食べたの?チェリーパイ」
いつもの2倍の量あったのに早いね~っと彼に近づけば、
「ん? なに?」
なぜか腕を掴まれてしまい
「ちょっとこい。」
「え、どこに?」
引っ張られるがまま、階段を上る。