ニヤニヤしながら蒼空さんの顔を見てみるけど、蒼空さんは肘置きに腕を置いて頬杖をついていた。






「…………………」





そして私に視線を合わせると






「───次は、一緒に桜が見てぇな。」






彼は私の顔色を伺いながらも、
優しく微笑んだ。





それって…


次のデートの約束ですよね!?





「う、うんっ…!!見たい!!」


「場所は…そうだな、お前がハルトと遊んだあの公園にしようか」


「いいね~!!あの辺満開で綺麗だし!

あっ、そうだ!!お花見しようよ!
ハルトくんの家族がしてたみたいにあそこでレジャーシート敷いてさ!

私お弁当作ってくる!
蒼空さんが大好きな甘い物もね!!」





ノリノリの私に


蒼空さんは嬉しそうに笑って





「そしたらまた、

口いっぱいに頬張る姿を俺に見せて」





私の顔を覗き込む。






「そんなの…いくらでも見せるよ」


「ん。ありがと」







「そ、そらさん…?」


「ん?」


「ここ電車の中……」






唇が


もう少しで触れてしまう


そんな距離。







「今は、月姫の赤くなった顔が見たい。」






電車の中は比較的静かで、


周りの人達はみんな寝ているようだった。






そんな中、


沈みかけの夕日によって薄く赤く照らされたこの場所で


私達はキスをした。





触れるだけの、軽いキス。





離れたあと


瞳に映ったのは


とても真剣な目をした蒼空さんで







「これから先も、ずっと、大切にするから。」






たぶん赤くなっているであろう私に


そう約束をしてくれました。