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「あー…もう終わりかぁ…」
帰りの電車内。
沈みかけの夕日が私達を薄く赤く染めた。
「今日が終わったらさ、蒼空さんが辞める日までのカウントダウン、始まっちゃうね」
その日まで
残り、1週間。
「辞めちゃっても、こうやって出かけようね。あっ、でも引越しの準備とかあるよね?だとすると会うのも難しいか…」
引っ越す前に、1回くらいは、こうやって出かけられたらなって。
遠出に限らず近場でもいい。
蒼空さんと一緒に居られる時間を少しでも。
「…………………」
「眩しい?」
蒼空さんを見れば目を細めて私を見つめてた。
「ちょっと待ってね~ 今カーテン閉めるから」
座席横にはカーテンが止められていて、それを右手でプツッと外せば
「……蒼空さん?」
蒼空さんの手が、その動作をとめるように私の手を包み込んだ。
そのまま手を繋ぐようにしてギュッと握られると、私と蒼空さんの間にある隙間へ。
「?」
どうしたんだろう?
急に握りたくなったのかな?
だとしたら可愛いな~。