「あー!楽しかった!!」





シャチのショーも終わり、水族館を後にして旅館へと向かう私達。





「濡れちゃったけど今日暑いからすぐ乾くね~!」


「…………………」


「あー……と、ごめんなさい…」





蒼空さんの視線から逃げるように目を逸らした。





少ししか濡れていない私に対して


蒼空さんは髪の毛から滴り落ちるほどに濡れている。




同じ場所で観ていたにも関わらず、なんで蒼空さんだけがびしょ濡れかと言うと





「俺を盾にしやがって……」


「ご、ごめんってば!」





そう。蒼空さんの言う通り、私は蒼空さんを盾にしてしまった。





いや、だけどね?


わざととかじゃなくてね?


ほんと本能的にというか……








シズクちゃんという名のシャチが目の前でジャンプした瞬間






(あっ、これびしょ濡れになるやつだ。)





と、察知したわけで。



こう……グイーッと隣に座ってた蒼空さんを引っ張っちゃって……





「案の定こんな感じに……」


「誰に向かって言ってんだお前」


「ひょめん…!!!」





軽く引っ張られる頬。



地味に痛いんだって!




「濡れたいって言ってあの場所選んだのは?」


「わ…わたしです……」


「じゃあ今のこの状況普通におかしいよな?」


「だ…だって………」


「なに、言い訳?いいぞ聞いてやる」





グイッと顎を鷲掴みにされて上に向かされる。






「ほら、言えよ」





水も滴るいい男。



その言葉が脳裏に浮かんだ。





そのまんまだなー…って。





ポタポタと滴り落ちる水が


光に当たるとキラキラと光って見えて


なんだか蒼空さんが神々しく見える。