その後は館内を片っ端から周り、軽めの昼食を食べて、そして私の本命であるシャチのいる場所へと辿り着く。
「すごい人……」
この水族館はシャチを売りにしているらしく、その水槽の前には人だかりが。
見えそうなところはないかとキョロキョロと見渡していれば、
「こっちおいで」
不意に引っ張られたことにより
私の身体は蒼空さんの前へ。
「見える?」
「う、うん!」
人と人の間からハッキリと見えるシャチの姿。
優雅に泳ぐその姿からは迫力も感じる。
「シャチ生で見たの初めてだわ」
後ろから聞こえたその言葉。
じゃあこれが初めてってことなんだ…
たったそんなこと
なのに嬉しくなる。
初めての記憶は残るもの
だから、蒼空さんの記憶の中に刻み込めたことが素直に嬉しいんだ。
(これからも、蒼空さんの初めては全部私とがいいな……)
私の初めても
全部蒼空さんに捧げたい。
「11時からシャチのショーあるんだって!」
「もーすぐじゃん!急ご急ご~」
どこからか聞こえてきたその会話。
蒼空さんも聞こえていたみたいで
「行く?」
「もっっちろん!!!」
目を輝かせる私に対して
彼はとても優しい顔をしていた。



