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旅行ライター











「私こういう者です!」




事務所の中に案内した飼い主さんから1枚の名刺を渡された。





「ワンッ!」


「はいはい、あとでね!」





ペロペロとソラに顔を舐めまくられているけれど、特に気にもしていない様子。





「旅行ライター…?」


「イエス!旅行ライターをしてます晶(アキラ)です!呼び方はなんでもいいよ!呼び捨てでもいいし!」


「………………」





とても元気なこの人に蒼空さんは身体を仰け反らせていた。





……こーゆータイプは苦手なのかな?





「いや~ほんと助かりました!私が家を空けたら大体脱走するから毎回困ってたのよね~

家の中に入れてるのにどこから脱走してるのか謎だわ~

まっ!今回はすぐに見つかって良かったけど!


あとあと!
ここって何かの職場なの?」





キョロキョロと興味津々に周りを見渡す晶さん。



事務所内には私と蒼空さんと陽葵さんだけで、心音さんは湊くんと陽菜さんを家まで送ると言っていない。





「ここは『なんでも屋』です。」


「なんでも屋?」


「頼まれた依頼は出来る事ならなんでもする。そういう場所ですよ」





デスクに座る陽葵さんが私達に代わって説明し始めた。






「へぇ~!!そんな場所本当に存在していたんだ!?それでそれでっ?本当になんでもしてくれるの?」


「はい。出来る事なら」





ニコリと微笑む。





「じゃあ!!」





バンッ!!と晶さんが目の前の机に勢いよく手をつくと、机の上に置かれたマグカップが揺れた。






「君達2人に頼みたいことがあるんだけど!!」


「え"っ」


「君達カップルでしょ!?だって外でチューし「わぁああーーっっ!!!!」





キスしてたところ見られてたなんて…!!


恥ずかしすぎて顔が熱いっ!!!





「ん?なんですか?」


「な、なんでもないです!!!!」





どうやら陽葵さんには聞こえていなかったみたいでホッと安心。



いや安心できないけど!!!